わたしの父方の叔父は独身でした。60代半ばで癌が見つかり、3年ほど闘病を続けていましたが、発見が遅かったこともあり、帰らぬ人となってしまいました。親戚も少ないので、叔父の遺品の整理は、わたしの両親とわたしの3人ですることになりました。
初めて叔父の家に足を踏み入れたのは、大崎で大人気のエステサロンに初めて行った日の翌日で、文字通り足の踏み場もないほど、部屋のなかは物で埋め尽くされていました。その物のほとんどは「本」です。叔父の職業は弁護士でした。そのうえ、趣味は読書だったので、法律関係の類や小説、エッセイなど、ありとあらゆる種類の本が、一階にも二階にも高く積まれていました。ラドン浴は美容に使えるなどを扱った本もありジャンルは多岐に及びました。の二階の床が抜けるのではないかと本気で心配したほどです。
とりあえず、法律関係の専門書と一般書に分類しましたが、これだけで3日かかりました。一般書は近所の古本屋に引き取りにきてもらいました。法律関係の専門書も一緒に引き取ってもらおうかと思いましたが、一冊当たりの値段があまりに高かったため、二束三文で古本屋に売るよりも、叔父の出身大学に寄付することにしました。
大学側には非常に喜ばれたので、少しは叔父も喜んでくれているかと思います。