私の祖母は子供たちが巣立った後一人暮らしを貫いてきましたが、70歳を過ぎてから何と一軒家を建て替えました。しかも大病をした後で、後何年生きられるかわからないというのに、です。
当然、私の親も含め子供たちは大反対しましたが、「建て替えて二世帯住宅にしたら誰か一緒に住んでくれるかもしれない。私のお金で全部賄うのだから何が悪い」の一点張りで、とうとう新築してしましました。
年金暮らしで貯金ですべて建て替えを賄って尚且つ生活できていたのはこのご時世、あっぱれというべきか、いややはり老人は金があると陰口を言われるかのどちらかでしたが、子供たちはみなそれぞれ自分の家を持っていましたので、最後まで誰も同居はしませんでした。
建て替えてちょうど10年後、祖母は亡くなりましたが、後には建て替えた割にはあまり住まなかった、手入れの行き届いていない家と祖母の膨大にため込んだ私物が残りました。
その家はその後20年も誰も住まず放置され続けました。人が住まないので、手入れも全くしていなく雨漏りやカビが生え放題で家具も衣服も仏壇まで放置され続けました。
あまりに処理が大変なので、新聞広告で見つけた遺品整理及び廃棄物処理業者に連絡を取り、100万円(祖母の遺産)かけて処分し、家屋はもう住める状態ではなく売ることもできないので、取り壊しとなりました。
あとは更地にして近隣マンションの駐車場にするなり、不動産会社に見積もってもらい土地は売ることになりました。
生前に祖母がこだわった土地家屋は誰にも引き継がれることなく終わりました。
祖母が元気な時にもう少し冷静に考えてくれていれば、子供たちが困らないように処分するものは思い切って処分するなり、綺麗に片づけて旅立ってくれていればと思いました。
昔の人なので物を大事にしたかった、というよりも、何かふっきれないで縋るものとして家土地を残して逝った人でした。
子供達に残してやりたいと思うのは決して悪いことではないですが、後々禍根を残すこともあるので思い切って断捨離することも必要です、というか絶対変なものまで残して逝かないで、と死ぬ人に言いたいです。
残された人がすべてそれをありがたがっているかと言えばそうでもないですから。残された人はタダだからと言ってなんでももらっていたら大変な目にあいますから、いらないものはいらないと生きているうちにはっきり言った方がいいでよ。